interview

人と出会い、つながり、広げる。そして、そこにあり続ける。  後編

―山田さんにとって塩尻は残していきたい場所ですか?

「塩尻残していきたいです、生まれた場所ですから!」となら、誰でも言える。「私が死んだとき塩尻が残っていようが、死後の世界なんで関係ないですね」とも、誰でも言える。どうしよう……一言では言えない。

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人口がずっと増えていって、経済が成長していた時代はもうこない。その時には、単純に人が多くて、働く人が多ければ経済が豊かになったかもしれないけれど、もうこれ二度とこない。確かなことは、誰もわからないんだよ。でも、「わからないなりに、こうありたいっていう想いを考え続けなきゃいけないな」と、わたしは思っているんです。それは、現実問題として、わからないからやらないっていうことじゃない。

少し前までは、「高校に行って、大学に行って、その大学を卒業するころには、だいたい就職ができて、それで定年まで38年間勤めることができる。だから家を建てることができて」というのが、わたしの父や母の時や、わたしもギリギリそう、でももうそういうのがなくなってきてしまった。

だからと言って、何もしない、わからないから何もやらない、っていうのでもないと思っている。それをわからないなりに考えて、続けながら、その都度、その都度、なにかしらの行動やアクションを起こしていかないと何も変わらないし。だけど、こうだって決めたものも、当っているかよくわからないし。だから私は考え続けながら、合っているのか間違っているのか、それともその問い自体が正しいのかわからないなりに考え続けながら「今日何するか」っていうことはやり続けなければいけないんじゃないかな、と思っている。

残したいと思っても、残らないかもしれないし、残したくないって思うけど勝手に残るかもしれないし、それは今はわからないから。

―考え続けながら、やり続けることが大切なのですね。

田坂広志さんの著書に「どんな時代でも上から垂らした水が下に流れていくのは変わらない」、「どれだけわからない時代でも、本質的なものだけはある」って、くだりがあって、それは本質的なことを見てなきゃ、いけないんじゃないかなっていつも思っている。

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単純にものは食べないと死んじゃうとか。どんなに経済が豊かでもお金は一円もないけど、ものがあれば生きていける。けれど、食べものが一個もなくて、お金だけが通帳にあっても、生きていけないっていうのは忘れちゃいけない。

SNSがあるから寂しくないって言っているけど、これは全部の通信会社がやめたり、facebook社がやめたりしたらなくなる。だけど、実際にリアルに会う人がや会いたいと思う人が身近にいれば寂しくない。今なら、携帯を操作する人とつながっていれば、どんなものがなくなっても寂しくないよね。

わたしは人が好きだし、迷わず会いに行っているのもSNSがあって補完されていると思う。たくさん会いに行けるようになったし、「今ここにいるんです」ってfacebookの位置登録ができれば近くにいる人と連絡がとれて、会おうと思っていなかった人にも会えたり。それが五城目町で活動している武田さんとわたしが、人を介して出会って実際行ってみようと思った時に、SNSで連絡をとりあったりとか、実際リアルに会うスピードだったり、リアルに会いに行きたいなって思う自分の思いだったりはだいぶ違う。

―反対に、身近なところでできることは?

漠然とした不安を抱えているままでは、分からないことを考えても答えは出てこないかもしれない。「なんで?」というのが抜けちゃっている。例えばお祭りがなくなってしまいそうだったら、「お祭りがなくなると何でいけないの?」、それを住んでいる人が説明できないといけない。だからわたしは、実際に現場へ行ってみて、例えばお祭りをに参加させてもらったりする。でも来年、誰かがいなくなってしまうと、お祭りの何かが欠けちゃう。それが伝統だったり。だからわたしは、商店街で空き店舗を借りて可能な限り利用し始めたんじゃないかな。

 

 

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インタビューを終えて、いつも笑顔で、人が大好きで、前へ前へと進む山田さんの原動力が垣間見えました。そして、目の前にいる人に真摯に正面から向き合い、目をそらさずに立ち向かう、そんな姿が多くの人の心を打ち「山田さんにまた会いたい!」と塩尻を訪ねる人がいることがわかる気がします。

インタビュー/越智風花(まちの教室スタッフ)
文/寺島美佐子(まちの教室スタッフ)

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山田崇(塩尻市役所企画政策部企画課シティプロモーション係 係長/nanoda 代表/信州移住計画 代表)

「空き家から始まる商店街の賑わ い創出プロジェクト nanoda(なのだ)」を 2012 年 4 月より開始。
http://www.shiojiring.jp/空き家プロジェクト-nanoda/
2014年1月「地域に飛び出す公務員アウォード 2013」大賞を受賞。
http://t-k-award.sakura.ne.jp/2013/index.html
TEDトークでの動画「元ナンパ師の市職員が挑戦する、すごく真面目でナンパな「地域活性化」の取組み」が話題に。
http://logmi.jp/23372
「信州移住計画」 2015年6月スタート
https://www.facebook.com/shinshu.iju.keikaku