interview

これから、「写真」が向かう先を知りたい

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4/23にしののいまちの教室で行われる「濱田英明さんに聞く『写真』の現在地」について、授業開催に至る想いをまちの教室スタッフでもある、授業コーディネーターの瀧内に聞きました。

ー篠ノ井としては久し振りの開催ですね。

だいたい2年と少し振りですね。

ーそうなのですね。その他の地域でも開催があるので、空いている感覚はないのですが、久し振りだと感じていました。まちの教室を開催し続けている理由とは何ですか?

えーとね、僕が続けられている理由としては、興味関心の幅が広がるんですね。自分だけでやりたいように授業を組み立てて、講師を選んでやり取りをする授業って、自分の予測の範囲内なんですよ。要は自分の世界の中。
だけど、自分の興味ある人とか、面白いなって感じる人、つまり僕以外の誰かに授業を頼むと、その人の興味の範囲があるじゃないですか、それが自分の興味の範囲のギリギリ外側にある。これって自分の世界を広げる可能性があると思うんですよね。
その授業に参加できれば、自分もスタッフも更に世界が広がるというか。
「興味ある人の興味」をつなげていくことを「興味の連鎖」って言ってるんですけど、広がり幅としては、大きな可能性があると感じています。

ー 今回の授業講師を、濱田英明さんにお願いしたのはどんな想いがあるのですか?

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濱田さんとの出会いは昔に開催したイベントでお会いしました。その時はWebデザイナーとして出会っていたので写真の話なんて全然していませんでした。そこから、同世代ということもあり気にはなっていたんですよね。
で、2012年にいきなり台湾で個展をやるんですよね。その後に、写真集『Haru and Mina』を台湾で出版、そして2014年に写真集『ハルとミナ』を日本で出版しています。この『ハルとミナ』が結構話題になっていたのですが、それが濱田さんの仕事だとは思っていなかったんですよね、その時は。
それで、時間を空けて友人伝いでに知ったんですよ。「あれ?!」みたいな感じで驚きました。

ーそこから興味が強まっていくわけですか。

そうですね。KINFOLKなど海外誌の撮影や&Premiumの表紙撮影だったり、瀬戸内国際芸術祭の小豆島のプロジェクトをやったりとか、色々な企画を行っている様子を見ていましたね。そうした活動から写真についての価値観というか、どこに向かっているのか聞いてみたいなと思うようになったんです。

ーどこに向かっているのか。

最近、写真って誰でも簡単に撮れるようになっていて、何気なくiPhoneで撮ったりとかしても、すごくきれいだったりするじゃないですか。こうした状況にフォトグラファーがどう感じていて、どこに向かって進んでいくのかなと。
(専門化分業化の時代を経て)コンピュータの普及でデザイナーがつくることだけじゃなくて、ディレクションをしはじめ、会計士が正しく計算できることだけじゃなく、キャッシュフローを見はじめているように、こうした職能の幅を広げ、深めていくようなことって様々な職種で起こっているんですよね。じゃあ、フォトグラファーって一体どうなんだろう?みたいなことはずっと考えていて。わからないんですよ。

ーそれが興味のひとつだということですね。

そうですね。それを、ずーっと写真をやっていて銀塩とはこうだ、構図はこうだ、みたいな、写真に対する視点が凝り固まっている人じゃなく、濱田さんみたいに、WEBデザイナーから始まり、世界から注目されて、いきなり台湾で個展を開催します、写真集出します、みたいな経歴でしょ。そういう人から話が聞けるのはすごく面白いんじゃないかなと思うんですよね。

ーそれが授業開催に繋がるのですね。

もちろん、最近の仕事も伺います。だって、いきなり世界とやり取りしているフォトグラファーってそんなにいないと思うんですよね。しかも、インターネットを通じて、いわば勝手に広がって生業に繋がっていったわけじゃないですか。思いがけず、みたいなところだとも思うんですけど。
だからといって、いわゆる口コミを広げていくためのテクニックを直接伺うわけではなく、何でそういう形になっていったのかはちょっと知りたいですね。それはおそらく、写真との関わり方、関係性みたいな話などにも繋がっていくと思います。
それと併せて、スタッフに濱田さんのファンがいたってのも開催の理由のひとつです(笑)

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「濱田さんの写真は子どもが有名だけど、関係性みたいなのが写っている気がする」

ーなるほど(笑)まちの教室での授業で心掛けていることを教えていただけますか。

僕の場合ですが、まちの教室で講師としてお呼びする場合はそんなに詳しくは知らないっていうことが多いです。あまり知りすぎていると、面白くないというか。なんだかその人おもしろいな!くらいの感覚で、授業を開催しちゃった方が、おもしろい授業ができるように感じています。なので、授業中は参加者と同じように僕も新鮮にリアクションしていることも多いです。へぇー、おもしろいね!!みたいな。生ものだと思うんですよね、イベントって。

ー初見に近いリアクションになるわけですね。

なってる。なるほどー!!ってなっている様子をそのまま見て、感じてもらえばいいと考えています。
なんかね、前にイベントの打合せ自体が結局一番面白いんじゃないかと感じたことがあって。この様子を録音して、当日会場で流しちゃえば十分じゃない?くらいに感じたんです。
これが自分だけではなく、他の皆もおもしろがれる可能性があるとしたら、という理由で、本番の授業に持ち込んでみようというスタイルになりました。

ーそれはある程度、ファシリテーションというか話題の導入とまとめが、上手にできないと、とりとめもなく終わってしまう様なリスクはありますよね。

このやり方は場数を踏めばできるって話なんですよね。場数踏まない人間にとっては怖いでしょうね。

ー瀧内さんのいう、授業の生っぽさ、というのも伝わります。

その時、盛り上がっていればいいかなって。なんかこう、本の価値と近いかもしれません。本の価値って、文中の一文が心に残れば、その人それぞれの解釈が生まれて、それぞれの価値となっていくって思うんですよね。そういう意味では、「良い」と感じる瞬間がそれぞれに持てているかなとか、満足して帰ったかなみたいなことは気にしていますね。

ーその生っぽさは、授業を楽しむポイントかもしれませんね。授業当日も楽しみにしています。ありがとうございました。

ありがとうございました。

聞き手/小野朋浩(まちの教室スタッフ)
サポート/杉田映理子(まちの教室スタッフ)

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瀧内貫
1978年大阪生まれ、長野育ち。デザイナー。
地域に根ざし、ブランディングや印刷、ウェブサイト制作のディレクションやデザインを手掛けるほか、地域課題を整理、解決するための活動やプロジェクトに携わる。デザイン事務所である株式会社コト社 代表、まちの教室プロデューサーなど。