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ザ・クリエイティブセンターからはじまる可能性

今回の授業は、まず講師の植野さんがやっているプロジェクトや運営しているお店「ニューショップ浜松」のこと、ザ・クリエイティブセンターというゲームが生まれる過程のお話があったあと、実際に参加者でザ・クリエイティブセンターで遊んでみました。

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講師の植野聡子さんは、静岡県伊東市生まれ。
静岡文化芸術大学 空間造形学科を経て、同大学院修了。メディアプロジェクト・アンテナのメンバーとして、教育やワークショップを通じ地域社会のあり方を探り、2014年7月、10cm角あたり100円からお店が開けるレンタルスペースのお店「ニューショップ浜松」を運営されています。

メディアプロジェクト・アンテナでは、REというプロジェクトをされています。
REとは、REAL EDUCATIONの略で、様々な暮らしや社会の周辺についてのものごとに対して「実感」をもって学んでいくプロジェクトです。

当時、大学で建築を学んでいた植野さんたちは「自分たちが学んでいることが社会とどうつながっているか、実感がもてない」と感じ、REプロジェクトをはじめたそうです。なので受講者は主に大学生が中心だそう。

内容は、「風景の実感」、「地域の関係学」、「身の周り・ルールの実感」「商品の実感」など、実際にまちを歩いたり自分のまわりの人間関係を見渡したりするなど、実感からはじまるプロジェクトです。
「風景の実感」では、まちにどんなものがあるのか、実際にまちを歩いて、気になった風景を写真におさめていき、その写真に写っていた素材を抜き出し、価格と名称を調べるというものだったそう。

カタログをみたり、工具店にいくより、実際に使われているところをみてから調べたほうが、イメージしやすそうですし、普段なにげなくみている風景に対する実感がもてるようになりそうです。

また、「地域の関係学」では自分のまわりの人間関係を相関図にし、その中からレクチャーをしてもらうゲストを決めるというプロジェクト。30人参加者がいたので、全30回のレクチャーシリーズの企画・運営を参加者自らの手でやったそうです。企画を0から10まで自分たちの手でやることで、イベントをするとはどういうことか、実際に体験ができるそう。

「自分の手でイベントをつくりたい」と思っている人にぴったりなプロジェクトです!おもしろそう!

その他、プロジェクトなどについて、くわしくはこちらからご覧いただけます。
http://www.untenor.com/

さて今回の授業のメインとなった「ザ・クリエイティブセンター」というゲームは、REがきっかけで生まれたゲームです。

REプロジェクトをやっているときに浜松市から「市街地にクリエイティブセンターをつくってほしい」という要望を受け、提案したのがコミュニティ育成カードゲーム「ザ・クリエイティブセンター」ゲームでした。

なぜ、実際の場所ではなく、ゲームを提案したのか、そこにはこんなストーリーがありました。

市から要望された「クリエイティブセンター」とは一体何なのか?
植野さんたちはその言葉を定義するところからはじめました。
そして、「地域資源をよみかえてコミュニティを醸成する」ところ、という結論がでたそう。

そこで、REプロジェクトである「商品の実感」と組み合わせて、地域資源をよみかえてイベントをつくるというゲームを開発することになったそう。

カードにはイラストと名称が書かれており、ハトなどの動物から、船/ロウソクといった乗り物や生活で使うもの、パン屋/おばちゃん/デザイナーという職種や特性などさまざまなカードがあります。これも開発中、ゲームを繰り返し行う中で、カードの内容が決定していったそうです。

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そして前提となることは、みんな仮想の村の村民ということだけ。

いろいろな遊び方があるようですが、今回やった遊び方は、8人のグループをつくり、ランダムに1人5枚カードが配られます。グループ内の1人が出題者兼判定者となり、配られたカードを1枚使ってお題をだします。出題者以外の人たちは、持ち札を自分なりによみかえて、イベントや企画の提案をプレゼンしていきます。使っていい枚数は1~3枚まで。カードの枚数がそのまま得点になるので、なるべく多くのカードで提案したほうが得点が稼げます。

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1分間で、提案のタイトルと内容を順番に発表していきます。
出題者の独断と偏見で、一番良いと思った企画が決定されるので、出題者の性格を読むのも鍵となります(笑)
このゲームのおもしろいところは、村が今どんな状況にあるのか、人口構成はどうなってるのかなど自由に決められるところ。(そして後々その状況を生かして提案してもよいところが隠れポイントです!)

わたしももちろんかなり本気で挑みました(笑)

実際にゲームしたときの最初のお題は、5枚の中に「地図」というカードがあり「この村にはわかりにくい地図しかありません。わかりやすい地図をつくる方法を提案せよ。」でした。
わたしが最初に配られたカードは「デザイナー」「おばちゃん」「コーヒー」「病院」(…あと1枚は忘れてしまいました…)

まず「デザイナー」!!
これで地図はわかりやすくつくれます(笑)

次に「おばちゃん」のカードを使うことを決定。
おばちゃんはどの世代にとっても馴染みがある存在ですし、その村に長く住んでいて近場で買い物などをしているイメージが強いため、まちの情報通というところを利用できそう。

あとは病院かコーヒー…うーん。
わたしも生活していて病院の評判の情報などがなかなか手に入らないことを不便だと思っていました。おばちゃんなら病院の評判も知ってそう。だけどなんだか暗い提案になりそう(笑)

ということで、「コーヒー」のカードを使うことに。
おばちゃん=井戸端会議という印象が強い
コーヒーの香りはリラックスさせる効果があるし、おばちゃんたちからいろいろ聞き出せそう。
これだ!!!!!

・・・と悩み、結論をだすというまでを1分間で思考し、まとめます。

そのあと、順番にタイトルを発表していきます。

「タ、タイトル考えてなかった…どうしよう!」とあたふたしながらも、
「お、おせっかいおばちゃんマップ」というマップの名前を絞り出し、
どんな企画なのかプレゼンします。判定者の心をつかむプレゼンをするのが最大の難関です!!

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「この村で一番所得をもっているのは、おばちゃん世代です。毎日ごはんの買い出しもたくさんするし、お友達といろんな飲食店でおしゃべりもします。まちに長く住んでいるので、この村で一番の情報通でもあります。今回はそんなおばちゃんにたくさんコーヒーを飲ませて(笑)リラックスしてもらい、口が軽くなったところで、まちの情報を聞き出し、デザイナーさんにマップを作成してもらいます!」

結果、この企画は一番になりました!(いえーい!)
選ばれると必死で1分間考えた甲斐があり予想以上にうれしいものです。

こんな感じで、計3回ゲームを繰り返していきました。

実際にやってみた方がこのレポートを読むより何倍もおもしろいと思うので、ゲームとカードの内容はここまで!

ゲームをやってみて思ったことは、「まちづくり」というととても固く考えてしまいがちだけれど、仮想の村だと思うとリラックスして(もちろんプレゼンもするのでいい意味でドキドキもしますが)考えられるということを感じました。行政の話し合いや企業でミーティングをする前にこのゲームをやってみても、頭が柔らかくなり柔軟な発想ができそうです。

また、ひとりひとり、カードのよみかえ方がちがうので、思いもよらない使い方をしているとき、「そうきたか!」と驚きと発見があります。ふだん使わない部分の脳がいい感じに動いている感じです(笑)

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そして自分が予想をしていなかったカードを使ってイベントや企画を考えるので、どんなアイディアでも言っていいという安心感と挑戦が自分の中に生まれたように感じました。
「現実的か」「やりたい人がいるか」という2点がそろうとそのイベントやプロジェクトが実際に実現できる可能性があるところがこのゲームの醍醐味です。
「なんかおもしろそう。遊んでみたいなぁ!!」と思った方、ニューショップ浜松のONLINE SHOPからネット購入できますよーー! https://newshop.stores.jp/

(まちの教室スタッフ 小口真奈実)

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植野聡子
1985年静岡県伊東市生まれ。
静岡文化芸術大学 空間造形学科を経て、同大学院修了。
メディアプロジェクト・アンテナのメンバーとして、教育やワークショップを通じ地域社会のあり方を探る。2014年7月、10cm角あたり100円からお店が開けるレンタルスペースのお店「ニューショップ浜松」をオープン。