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つながるきっかけのある商店街から、地域へ

下諏訪には見どころがたくさんありますが、下諏訪のふらっと歩いて楽しい感じを作り出しているものの一つは「御田町(みたまち)商店街」なのではないでしょうか。
御田町商店街は「商店街の成功事例」として取り上げられるような商店街だけど、地元の人は案外知らない?ということで、今回はその御田町商店街の中心「ぷらっとスペース」で、この商店街を変えたキーマンにお話を聞く授業!

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今回の講師は原 雅廣さん。御田町商店街の仕掛け人として全国に講演へ呼ばれていっています。

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授業コーディネーターの菊池大介さんは、御田町商店街にオフィスを置いて活動するデザイナーさんです。
みなさんは「商店街」という言葉からどのような風景を思い浮かべるでしょうか?

今、私が住んでいるところは松本市。松本は小さなお店がぎゅっと多くて、狭い範囲で歩いていろんなものが見られるまちです。「商店街」と名のつく通りもあるけれど、日用品を扱うようなお店の並びではなく、セレクトショップやおしゃれなカフェ、お土産物屋さんや居酒屋さんなどが並んでいて、ちょっと「商店街」のイメージとは違うのかな?と思ったりします。

先日、上田を歩いてみたのですが、上田の海野町は商店街だ!という感じのところ。(あいまいですみません)電気屋さん、竹製品屋さん、靴屋さんなど、日用品や専門店の並ぶ通りでした。春先に訪れた伊那市の駅前の商店街も、似たような感じで商店街らしい商店街だなぁと思った記憶があります。

きっと、私の「商店街」の言葉のイメージは生活感があるかどうかなのですね。

その点、御田町商店街は生活感と生活感のない感じの混合で、昔からあるお店と新しくできたお店が一緒に並んでいて、でも新しくできたお店がいい意味で目立たなくて浮いていない感じ…。歩いてみるとちょっと不思議な感じがするのです。
原さんは「店舗や街並みは昔と何も変わっていない」と言います。御田町商店街は店舗や街並みは変わらないけれど、どんどん新しい人が入ってきてお店をはじめる商店街なのだそう。
新しいのに新しくない…なんだか不思議な感じがする理由はここにあるのか!?
なぜ、そのような商店街になったのでしょう??

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原さんいわく、建物もレトロだけど、商店街やその周辺に住む人たちが「レトロ」!ここに住むおかみさんたちの包容力・おせっかい力がすごい!お店の準備をしていたり、ちょっと夜まで電気をつけているとお店に毛布や食べ物などの差し入れがおかみさんたちから届くんだそう。これは仕組みとしてあるのではなく、自然な形でそのサポートができており、田舎ならではの「挨拶しない人はダメ!」みたいなところもないとのこと。
この温かい見守りもあって、お店を開きたい若い人たちが入ってきやすい環境になっているよう。

それに加えて、諏訪地域はもともとものづくりのまち。そういうこともあってか、御田町にはものをつくる人、クリエイターさんが集まってきます。ものづくりのまちであるから、まち自身にものづくりのノウハウや知識の蓄積があるのも、魅力です。

また、まちの中に「cafe TAC」さんなどの「たまり場」があり、80代と20代の人たちが一緒に飲んで語らうような世代を超えた出会いがあることも大きな要因です。会議のために集まるのではなく、自然に集まって話すことができているそうです。

そうして集まってくるクリエイターさんがまちで活動をしていく中で、本業を生かしながらまちに還元されていくような形になっていく、そんな流れが御田町の中で起こっているのです。

新しい人を受け入れる環境・おかみさんたちがいて、いろんな人と出会える場所があり、ものづくりの文化がある地域で、どんどん新しい人が入ってきて、その人たちのいいところがまちに生かされていく…。

先日、下諏訪のまち歩きをしたとき、御田町に限らず、下諏訪のまちで出会ったおかあさん・お姉さんたちが優しくて、自分から聞いても聞かなくてもまちのおすすめスポットや歴史をどんどん教えてくれました。まちにこれから住もうとしている人だけでなく、観光にやってきた人にも優しい感じが、二つの街道を結ぶ宿場町だなぁーと感じたのを思い出します。
加えて、原さんいわく、下諏訪は町工場ができたことにより全国から働くために人が集まってできた比較的新しいまちだということだったので、あぁ昔から外から来た人を迎え入れ、新しく迎え入れられた人も次の人に同じく優しく迎えるようなまちなんだなと思いました。そして、迎え入れるだけでなく、もらった御恩を自分のできることでまちに返していくような優しい循環が原さんの話から想像されます。

でも、これだけだと商店街は続かないと原さんは言います。もっとまちの中へ、学校の中へ入っていかないと持続性が担保されない…!

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そこで原さんが始めたのが、「プラットフォームづくり」です。これはゆるやかな組織をつくっていくこと!生活リズムや仕事、性別が違う人たちが集まり、一緒に何かするためには、無理をしてはいけない。楽しくやらないと続かない。しっかり会議をして全員参加、全員賛成でないとやらないのではなく、できる人ができることだけ手を挙げて参加するという形にしました。やりたいと思ったら挙手!

そうしたプラットフォームを御田町から作っていく中で、他の地域のことや、他の人たちに会ってみたい、という思いからできたのが、「ぶらりしもすわ三角八丁」と「スワいち」というイベントです。下諏訪地域や諏訪地域の広い範囲の中で大きなイベントを新しく作るのではなく、どちらも元々地域にあったイベントを同じ日程にして、同時開催にしたもの。だから、無理をして何かを始めたりするのではなく、今まで通り自分たちのイベントを開催するだけなのです。だから、実行委員会や全体を管理する立場の人がいないとのこと!
いままでのプラットフォームを超えた出会いがあり、自分たちの地域で解決できないことは隣の地域の知恵を拝借して相互補完にしていける、より大きな範囲での組織づくりがぽこぽこと諏訪地域で起こっているようです。

これ、まちの教室も似たような仕組みでやっているのです。スタッフはそれぞれの仕事や勉強があるので、自分の生活に無理のない範囲で参加したいこと、面白そうと思ったことに参加していく。そこでは、同じように自分のできることを還元していく。
長野県の様々な地域で授業を行うことで、他の地域の解決策を見出したり、外から講師を呼ぶことでその地域の課題の解決策を考えたりするようなきっかけにしています。

まちの教室もひとつのプラットフォームとしてたくさんの地域とつながり、いろんな人たちとの出会いの場として授業を考えていきます。
また、ビビッとくる授業がありましたら、ぜひご参加ください!皆さんと一緒に授業を楽しみたいスタッフがわくわくとお待ちしております。

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(まちの教室スタッフ 越智風花)

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原雅廣(NPO法人 匠の町しもすわあきないプロジェクト 専務理事)
2010年「長野県 地域元気づくり支援金」県知事賞受賞、12年「地域づくり表彰」国土交通大臣賞受賞。総務省地域力創造アドバイザー。諏訪アライアンスプロジェクトさいか メンバー。金属加工などを行う工業系企業に務める傍ら下諏訪町のまちづくりに勤しむ。全国で、商店街再生を語る講演なども行なっている。