report

野宿講座 −幸せのハードルの下げ方−

20150725033_01

大町市の木崎湖キャンプ場で行われた「ALPS BOOK CAMP 2015」の中で、今回のまちの教室は開催されました。
湖畔の横という、とっても気持ちがいいロケーションでの授業内容はずばり「野宿」です!
「野宿する!」って一見どんなイメージですか?
宿が見つからなかった時の最後の手段… 貧乏… 大人としてやってはいけないような…など、いろいろあると思います。
正直なところ、始めは私も 野宿=サバイバルでちょっと危ないこと… というマイナス寄りなイメージでした。

「映画などから野宿って青春ぽいなってあこがれてて、高校生になったら華々しくデビューしたいと思っていたんですよ!」
とお話してくださったのは、講師のかとうちあきさん。

かとうさんは旅コミ誌「野宿野郎」や「野宿入門」「あたらしい野宿(上)」などを出版されていて、野宿への愛が伝わりました!

「アパレルで働いていた時に、ものがたくさん捨てられていくのにショックを受けて、ごちゃごちゃしたものから自由になりたかったんです。」
本授業の進行役・コーディネーターの細井岳さんの理由、とってもよく解ります。その気持ちの解決方法が野宿とは!斬新です
そしてお二方とも、そろって野宿=冒険・自由といったプラスのイメージを持たれていました。
野宿講座では、このきらきらと光る少年のような目をした、かとうさんと細田さんのお話をお聞きしました。

「これが一番最初に野宿した側溝です」

側溝!!と、聞いてびっくり。…でも意外と、体がすっぽりはまって落ち着くかも…
かとうさんが野宿デビューをされたのは高校生時代。野宿が出来るように1泊2日の旅路を用意し、その途中で初野宿!
道をそれたくなくて、見渡してみたらちょうどいい場所があったそうです。
寝れなそうなところで寝る。これでもいけるなら、どこでも行ける!その達成感がクセになり、ハマっていったといいます。

「野宿するのだったら車での移動ではなくて、人力のほうがおすすめです!起きて、食べて、歩いて、寝るだけ…自分からいろんなものを削ぎ落としていく快楽ってあるんですよ。」

かとうさんと細井さんは口をそろえて言います。

「あと、大抵のことは大した事ないと思うようになってきます…(笑)」

野宿をする一番スタンダードな場所は公園。24時間営業の公共の場だし、水場などが一通り揃っているから。
ほかにも駅、道の駅、バス停、橋の下などなど…ハードなものではトイレ野宿というものもあるそうです。
始めはハードだなあ! と思うけれど、トイレは暖かさや水場、安全性など快適に泊まれる要素が全てがそなわっている場所なんだそうです。確かに…!
野宿でよく遭遇するという、お巡りさんやヤンキーな若者達も気にしなくていいですね。
細井さんは朝起きたらヤンキーな若者達に取り囲まれていたという経験もされたそう…怖い。
だけれど怖いだけじゃなく、面白いのも人。
四国の方ではお遍路の文化が根付いているからか、よく差し入れをくれたり、凄い親切にしてくれるそうです。
そして野宿ととても似ている車内泊好きの人のお宅(車)で盛り上がったり、その地域の朝のラジオ体操に参加したりなど…ヤンキーな若者達も、仲良くなると可愛いとのこと!
最近ではこそこそしすぎず、むしろ愛想良く会釈などして、ここに泊まるアピールをさりげなくするのだそう。

20150725033_02

実際の野宿グッズも体験しました。新聞紙、ダンボール、銀マット、ブルーシート、キャンプ用マットなどなど。
面白かったのはダンボールをただ敷くだけでなく、組み立ててつなげてそこに潜るという使い方です。中は暖かいとのこと…!
「え、全然寝れるよ?」「新聞だけでも自分のスペースがあるみたいで落ち着く」と意外そうな参加者の方の声も沢山聞こえました。

「野宿のいいところは、たった一夜あかすのにこんなに労力が必要なんだって実感できるところです。みんな幸せのハードルが高い。これだけのものを越えないと嬉しい、楽しいって思えなくなってる。」

これを聞いて何かを手に入れて得られる「満足感や充実感」より、いろんなものを削ぎ落とすことで感じられる「生きているっていう実感」を強く求めている人は意外と多いんじゃないかいかな。と思いました。

20150725033_03

「ゴチャゴチャ色んなものがありすぎて疲れてしまったら、1泊だけおためし野宿をしてまたいつもの生活に戻ってバランスをとるのにも野宿はおすすめです。」

と細井さんはおっしゃっていました。
どうでしょう野宿! 削ぎ落として追い込まれて「いやあ、生きてるなあ」ってこと、思い出しにいきませんか?

(まちの教室スタッフ 竹内晴香)

===

かとうちあき(『野宿野郎』編集長(仮))
1980年、神奈川県生まれ。人生をより低迷させる旅コミ誌「野宿野郎」の編集長(仮)。著書に『野宿入門』(草思社)、『あたらしい野宿(上)』亜紀書房など。野宿が好きです。